この記事は、こんなあなたに向けて書きました
突然「本採用できない」「今月末で終わり」と告げられた。試用期間だから仕方ないのか、それとも戦えるのか——まず何をすべきか知りたい。
こうした解雇通告を受けると、多くの人が「試用期間だから自由にクビにできる」と誤解しています。しかし実際には、試用期間中の解雇も法律上の「解雇」であり、正当な理由が必要です。この記事では、試用期間中に解雇・本採用拒否を告げられた当事者が、今日から動ける対処手順を解説します。
📌 この記事で分かること
- 試用期間の解雇が「法的にどんな扱い」になるかの整理
- 解雇が無効になるケース・ならないケースのチェックリスト
- ブラック企業が試用期間を悪用する手口と見抜き方
- 解雇通告を受けた当日から動ける実践手順
- 解雇予告手当・試用期間延長強要への対処法
試用期間の解雇は「普通の解雇」と何が違うか
まず、試用期間中の解雇の法的な位置づけを整理します。試用期間中の雇用契約は、法律用語で「解約権留保付雇用契約(かいやくけんりゅうほつきこようけいやく)」と呼ばれます。つまり、会社が「本採用が難しいと判断した場合に解約できる権利を留保した状態」で雇用が始まっているということです。
しかし、この解約権が「いつでも自由に行使できる」わけではありません。労働契約法16条は、解雇が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でない場合は無効」と定めており、試用期間であってもこの規定が適用されます。そのため、試用期間中の解雇も普通の解雇と同じ法的基準で審査されます。
試用期間中の解雇と通常解雇の比較
| 項目 | 試用期間中 | 本採用後 |
|---|---|---|
| 法的な扱い | 解雇(解約権の行使) | 解雇 |
| 合理的理由の必要性 | 必要(やや緩やかに判断) | 必要(厳格に判断) |
| 解雇予告(14日超の場合) | 30日前通知 or 解雇予告手当が必要 | 同左 |
| 14日以内の場合 | 解雇予告不要(ただし理由は必要) | 解雇予告が必要 |
なぜなら、試用期間中であっても雇用契約は成立しており、労働者としての権利が保障されているからです。したがって、「試用期間だから何でもあり」という会社の主張は法的に誤りです。
⚖️ 解雇予告のルール(労働基準法20条・21条)
雇入れから14日を超えて就労した場合、試用期間中であっても30日前の解雇予告または解雇予告手当(30日分の平均賃金)が必要です。また、14日以内の解雇であっても、解雇に合理的な理由が必要な点は変わりません。詳細はe-Gov法令検索(労働基準法)で確認できます。
解雇・本採用拒否が無効になるケース——チェックリスト
試用期間中の解雇が無効と判断されやすいパターンを整理します。あなたの状況と照らし合わせてみてください。以下に多く当てはまるほど、不当解雇として争える可能性が高まります。
不当解雇になりやすいケース
- 指導・教育を一切せずに解雇された——能力不足を理由にする場合でも、会社が改善指導を行わずに解雇することは、不当解雇と判断されやすいです。
- 解雇の理由が曖昧・抽象的すぎる——「社風に合わない」「なんとなく向いていない」など、客観的根拠がない理由は認められません。
- 成果が出なかったことだけを理由にされた——入社直後に成果が出ないのは当然であり、特にノルマ未達の一点で解雇することは不当とみなされます。
- 1〜2回のミスや遅刻を理由にされた——軽微な問題を一度犯しただけで解雇することは、社会通念上相当でないとして無効になる可能性があります。
- 体調不良・病気・育児・介護が理由に含まれている——業務上の負傷や疾病による休業中の解雇は法律で禁止されています(労働基準法19条)。
- 採用面接の時点で会社が知り得た事情を後から理由にされた——面接時に話した内容や開示済みの事情を解雇理由に使うことは、留保解約権の趣旨から外れると判断されます。
解雇が認められやすいケース
- 履歴書・職務経歴書に重大な虚偽記載があり、発覚した場合
- 繰り返し注意・指導したにもかかわらず、改善が見られない勤怠不良や規律違反
- 業務遂行に支障をきたす重大な問題行動(他の従業員への暴言・暴力など)
- 採用時に前提とした特定の資格・スキルが実際には存在しなかった場合
したがって、解雇が認められるかどうかは「会社が指導したか」「理由が客観的か」が大きな分岐点になります。また、あなたが解雇を告げられた理由と照らし合わせて判断してみましょう。
▶ 突然クビにされた——不当解雇の判断基準と異議申し立て手順
ブラック企業が試用期間を悪用する手口
ブラック企業の中には、試用期間の制度を意図的に悪用するところがあります。具体的には、次のようなパターンが代表的です。
よくある悪用パターン
▶ 懲戒解雇すると脅された|ブラック企業の手口と在職中の対処法
解雇・本採用拒否を告げられたら——当日から動く手順
解雇通告を受けた当日から、次の手順で動いてください。しかし、感情的に動く前に、まず証拠を確保して権利を守ることが最優先です。
即日〜3日以内に行う行動
1週間以内に行う行動
あわせてこちらの記事も参考にしてみてください。
試用期間の延長を強要されたときの対処法
「もう少し様子を見たい」「試用期間を3か月延長する」と一方的に告げられることがあります。しかし、試用期間の延長には条件があります。
試用期間を延長できる条件(両方を満たす必要があります)
- 就業規則に「試用期間を延長できる」旨の規定がある
- 延長する合理的な理由がある(例:長期病欠で評価期間が確保できなかった等)
したがって、これらの条件を満たさない一方的な延長通告には、従う義務はありません。また、試用期間は通常1〜6か月の範囲が相当とされており、1年を超えるような長期延長は不相当とみなされる可能性があります。
したがって、一方的に試用期間の延長を告げられた場合は、就業規則を確認し、延長の根拠となる規定と理由を書面で確認するよう求めましょう。
よくある質問
解雇・手続きについて
不当解雇への対応について
まとめ
✅ この記事のまとめ
- 試用期間中の解雇も法的には「解雇」であり、合理的な理由がなければ無効です
- 14日を超えて就労した場合、解雇予告または解雇予告手当(30日分)が必要です
- 指導なし・曖昧な理由・1回のミスだけを理由にした解雇は不当解雇の可能性があります
- 解雇通告を受けたら、まず解雇理由証明書の請求と証拠の保全を行いましょう
- 試用期間の延長は就業規則の規定と合理的理由が必要であり、一方的な延長には従う義務はありません
- 泣き寝入りせず、労基署・弁護士・労働相談窓口に早めに相談することが重要です
つまり、試用期間中であっても、あなたには労働者としての権利があります。そのため、「試用期間だから仕方ない」という言葉で納得させようとする会社に対して、まず一歩だけ動いてみてください。最初のステップは、解雇理由証明書を請求することです。
▶ 退職勧奨の断り方|拒否できる理由と圧力への対処・条件交渉まで
▶ ブラック企業が辞めさせてくれない|違法な引き止め5パターンと確実に辞める手順