雇用契約書・労働条件通知書がもらえない会社の対処法|在職中に条件を確定させる手順

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この記事は、こんなあなたに向けて書きました

入社したのに雇用契約書をもらえていない。「うちはそういうの出さない」と言われた。残業代や休日の条件が口頭での約束と違う気がするけど、書類がないので確認できない——そんな状況で働き続けているあなたへ。

雇用契約書がもらえない状況で最初に知っておくべき事実があります。それは「雇用契約書自体に法的な作成義務はないが、労働条件通知書の交付は会社の法律上の義務」という点です。つまり、雇用契約書がない会社は違法ではないケースもありますが、労働条件通知書まで渡されていない場合は確実に労働基準法違反です。この記事では、在職中のあなたが自分の労働条件を確定させ、不利益から身を守るための具体的な手順をまとめます。

📌 この記事で分かること

  • 雇用契約書と労働条件通知書の違い・どちらが法的義務か
  • 「もらえない」状況の危険度チェック
  • 書面がなくても労働条件を確定させる代替証拠の集め方
  • 会社への請求方法と、それでも動かない場合の申告手順
  • 「聞いていた条件と違う」場合に在職中でも取れる行動

まず整理:雇用契約書と労働条件通知書の違い

「雇用契約書がもらえない」と検索している人の多くが、実は2つの異なる書類を混同しています。まずこの違いを整理することが、あなたの状況の危険度を正しく判断する第一歩になります。

雇用契約書とは

雇用契約書は、労働条件について会社と労働者の双方が合意したことを示す書類で、通常は双方が署名・押印します。つまり「双方の合意の証明書」という性格を持っています。しかし、法律上この書類の作成・交付を義務付けた条文はありません。したがって、雇用契約書がなくても、それ自体は違法ではないのが現実です。

労働条件通知書とは

一方、労働条件通知書は、会社が労働者に労働条件を一方的に明示するための書類です。なぜ重要かというと、労働基準法第15条によって、すべての事業主に対して書面での交付が義務付けられているからです。雇用形態に関係なく、正社員・パート・アルバイト・契約社員すべてが対象です。違反した場合は、労働基準法第120条により30万円以下の罰金が科される可能性があります。

書類の種類 法的義務 なくても違法? 罰則
雇用契約書 作成義務なし 直ちには違法ではない なし
労働条件通知書 交付義務あり(労基法第15条) 違法 30万円以下の罰金

具体的には、雇用契約書も労働条件通知書も両方ない状態は確実に違法です。また、「雇用契約書 兼 労働条件通知書」として1枚に統合した書式を使う会社もあります。その場合は、法定記載事項が揃っていれば問題ありません。

法律の根拠

労働基準法第15条は、賃金・労働時間・休日・就業場所・業務内容などを書面で明示することを使用者に義務付けています。詳細はe-Gov法令検索(労働基準法)で確認できます。また、厚生労働省の労働条件通知書モデル書式も参照できます。

あなたの状況の危険度をチェックする

雇用契約書がもらえない状況にも「危険度」があります。雇用契約書がないだけなのか、労働条件通知書まで存在しないのか、さらに実際の労働条件が口約束と違うのかによって、今すぐ動くべきかどうかが変わります。

危険度チェックリスト

📋 状況別の危険度チェック

  • □ 雇用契約書がないが、労働条件通知書はもらっている
     → 危険度:低 現時点では違法ではないが、後のトラブル防止のため契約書の交付を求めるべき
  • □ 雇用契約書も労働条件通知書もどちらももらっていない
     → 危険度:高 労働基準法違反。今すぐ書面請求と証拠確保を始めるべき
  • □ 書面をもらったが、実際の条件が書面と違う
     → 危険度:最高 労働基準法第15条2項により即時契約解除の権利あり。証拠確保が最優先
  • □ 残業代・休日・賃金が入社前に口頭で聞いた条件と異なる
     → 危険度:最高 書面がなければ証明が困難。代替証拠の確保が急務

特に危険なのは、労働条件通知書がない状態で残業・休日出勤を求められているケースです。なぜなら、書面がなければ「どの条件で合意したか」を証明できず、過払いになった残業代を後から請求する際にも不利になるからです。

⚠️ 「書面がない」は会社に有利で労働者に不利

残業代の計算・固定残業代の適用・試用期間の扱い・転勤命令の有効性——これらはすべて書面の内容が基準になります。書面がない状態では、いずれも会社側の言い分が通りやすくなります。つまり、書面をもらえない状況を放置するほど、あなたの権利が守りにくくなります。

書面がなくても条件を確定させる代替証拠の集め方

雇用契約書も労働条件通知書ももらえない状況でも、代替となる証拠を集めることで自分の労働条件を立証できます。まず証拠を確保してから会社への請求・申告に進むのが正しい順番です。

集められる代替証拠の種類

証拠① 採用時のやり取り(メール・チャット・求人票)

採用時に送受信したメール、LINEや社内チャットのやり取り、応募した求人票(スクリーンショット含む)はすべて保存します。特に「月給〇〇万円」「残業なし」「年間休日〇日」など条件が書かれた文面は、後の請求で重要な根拠になります。求人票はハローワークや求人サイトから自分でも確認できる場合があります。

証拠② 給与明細・給与振込の記録

給与明細は毎月必ず手元に保管します(給与明細の交付も法的義務)。また、銀行口座への振込履歴は通帳やネットバンキングの画面から確認・保存できます。なぜなら、実際の支払額と約束された賃金の差を示すのに不可欠な証拠になるからです。

就労記録・会話の記録も有効な証拠になる

証拠③ 実際の就労記録(タイムカード・出退勤ログ)

実際の労働時間を記録します。タイムカードの写真撮影・PC起動ログのスクリーンショット・スマホの勤務記録アプリなど、方法は何でも構いません。具体的には、「実際の労働時間が約束と違う」という事実を残すために、毎日の出退勤時刻を手元で記録しておくことが重要です。

証拠④ 口頭で言われた条件のメモ・録音

入社前後の面接・説明会・上司との会話で聞いた条件を、日付入りでメモに記録します。また、条件について上司と話す機会があれば、スマホで録音することも有効です。自分が参加した会話の録音は法律上問題ありません。さらに、会話後すぐにその内容をメールで「本日お伺いした条件の確認です」と送り、証拠を書面化することも効果的です。

▶ 残業代の未払いを取り戻す方法|計算・時効・請求手順まとめ

会社への請求手順|書面を受け取るための動き方

証拠を確保したら、次は会社に書面の交付を正式に求めます。そのため、「穏やかに依頼→書面での請求→外部申告」という段階を踏むことで、会社側が「対応しなかった」という事実を積み上げられます。

ステップ1:人事・総務に口頭+メールで依頼する

まずは穏やかに「労働条件通知書を交付していただけますか?」と伝えます。なお、単に担当者が書類を出し忘れているだけのケースも実際にあります。依頼の際は、口頭だけでなくメールでも送り、記録を残します。「いつ・誰に・何を依頼したか」を日誌に記録しておくと、後の申告で役立ちます。

依頼メール例文

件名:労働条件通知書の交付のお願い

お世話になっております。〇〇(自分の名前)です。
入社から日が経ちましたが、労働条件通知書をまだいただいておりません。労働基準法では書面での明示が義務付けられているため、速やかにご交付いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

ステップ2:「実際の条件と違う」場合は即時解除権を持つ

もし労働条件通知書を受け取り、記載内容が実際の条件と違うことが判明した場合、労働基準法第15条2項により即時に労働契約を解除できます。つまり、「聞いていた話と違う」という事実が書面で確認できた時点で、会社都合に近い形で退職できる根拠が生まれます。

ステップ3:依頼しても動かない場合は労基署に申告する

会社が書面の交付を拒否・無視する場合は、管轄の労働基準監督署に申告します。申告すると、監督署が会社に調査・是正指導を行う場合があります。申告は匿名でも可能ですが、実名の方が調査が動きやすくなります。また、「賃金・残業代の未払いも一緒にある」という場合は、まとめて相談することも可能です。

📞 相談先まとめ

  • □ 労働基準監督署(厚生労働省)……労働条件通知書不交付・賃金未払いなど労基法違反全般の申告窓口
  • □ 総合労働相談コーナー……無料・予約不要。複合的な問題をまとめて相談できる
  • □ 法テラス(0570-078374)……無料法律相談・費用立替制度あり

▶ ブラック企業の相談先6つ|悩み別の選び方と無料窓口

「雇用契約書をもらえない会社」はブラックと判断すべきか

雇用契約書がない会社がすべてブラック企業というわけではありません。しかし、労働条件を書面で明示しない会社には、意図的に条件を曖昧にしておくことで労働者に不利な状況を作ろうとしているケースが多いのも事実です。

書面がない会社で起きやすいトラブル

書面がない状態で起きやすいトラブル一覧

  • □ 「残業代込み」と言われていたが、固定残業代の上限・超過分の扱いが不明確
  • □ 試用期間の賃金・条件が不明確なまま、いつまでも試用期間扱いされる
  • □ 転勤・配置転換を突然命じられ、拒否すると解雇をちらつかされる
  • □ 「正社員登用する」と言われて入社したが、いつまでも非正規のまま
  • □ 退職時に「雇用期間がある」と主張されるが、そんな条件は聞いていない

したがって、「書面の請求を依頼したときの会社の反応」がブラックかどうかの重要な判断材料になります。穏やかに請求したにもかかわらず「うちはそういうのは出さない」「必要ない」と拒否するなら、意図的に条件を曖昧にしている可能性が高いと判断してよいでしょう。

退職を検討すべきサイン

退職・転職を本格検討すべき状況

  • □ 書面の請求を繰り返し拒否・無視された
  • □ 実際の賃金・残業代が入社時の説明と明らかに異なる
  • □ 残業代・休日出勤の扱いが不透明なまま長時間労働が続いている
  • □ 「書類を求めたことで態度が悪化した」など報復の兆候がある
  • □ 労基署に申告しても会社が改善しない

▶ ブラック企業が辞めさせてくれない|違法な引き止めと確実に辞める手順

よくある質問(Q&A)

書面・証拠・法律について

Q. パート・アルバイトも労働条件通知書をもらう権利がありますか?

あります。労働条件通知書の交付義務は、雇用形態に関わらずすべての労働者が対象です。つまり、パート・アルバイト・契約社員・派遣社員を問わず、採用時に書面での労働条件明示が会社の義務となっています。むしろ有期雇用の場合は、契約期間・更新の有無・更新の判断基準も明示が必要です。

Q. 入社前に口頭で聞いた条件と違います。これは詐欺にはなりませんか?

刑事的な詐欺罪の成立は困難なケースが多いですが、民事上の損害賠償請求や雇用契約の即時解除(労基法第15条2項)は可能な場合があります。また、採用時に虚偽の条件を提示していたことが証明できれば、「会社都合」相当として失業保険の給付制限がなくなるケースもあります。具体的な状況は弁護士への相談で確認しましょう。

退職・請求について

Q. 書面がないまま退職した後でも、未払い残業代を請求できますか?

請求できます。残業代の時効は3年(労働基準法改正後)です。また、書面がなくても代替証拠(メール・タイムカード・録音・給与明細など)で立証できる場合があります。ただし、書面があった方が請求手続きが大幅に楽になるため、在職中に証拠を確保しておくことが重要です。

まとめ

雇用契約書がもらえないことへの対処は「書面を請求する」だけで終わりではありません。まず代替証拠を確保してから請求に動くことで、万が一会社が拒否した場合でも外部申告・残業代請求などに活用できます。今すぐできることから始めてください。

✅ この記事のまとめ

  • 雇用契約書がないこと自体は違法ではないが、労働条件通知書がないのは確実に法律違反
  • 労働条件通知書の不交付は30万円以下の罰金(労基法第120条)
  • 書面がなくても採用メール・給与明細・就労記録・録音で代替証拠を確保できる
  • 書面の内容が実際の条件と違う場合は、即時に労働契約を解除できる権利がある
  • 会社が書面交付を拒否・無視する場合は労働基準監督署に申告する
  • 「書面を求めた時の会社の反応」がブラックかどうかの最重要判断基準になる

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著者

モブリーマン

生まれも育ちもブラック企業 アルバイトもブラックとブラックに愛され続けた人生 ブラック環境で働いた経験やブラック企業の見分け方について 紹介していきます

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